大学の偏差値はインターネット上や書籍などで見かけることがあると思いますが、その偏差値の見方を間違えると、大学や学部に対して間違った評価をしてしまいかねません。
そして自分の学力を過大評価、過小評価して、大学選びを間違えることも。
皆さんも経験があるかと思いますが、大学の偏差値は出版社によっても異なり、ネットで調べても数字が違うので、どれが正しいのかよくわからないということがあるでしょう。
予備校や塾、企業によって偏差値の出し方に特徴があって、偏差値が高めに出るところや低めに出るところ、または大学のレベルによって偏差値の数値の差が大きいところもあります。
これから理系文系のどちらにしようか、国公立大学と私立大学のどちらに向けて勉強しようか思案中の学生にとって、大学の偏差値は判断基準にとても大事です。
そこで今回、大学偏差値の正しい見方を解説していきます。
母集団に影響されない模擬試験の偏差値が正しい
一番最初に大事なことを言っておきます。
偏差値は母集団に影響されない計算方式の模擬試験が一番正しく学力を判定できます。
大量の人数が受けないと正確にならない模擬試験の偏差値では、偏差値の正確さに限界があります。
長年の実績と膨大なデータがある予備校の偏差値を判断材料にしてください。
具体的にどういうことかこれからきちんと説明していきます。
予備校や塾の偏差値の出し方で、共通テスト対策のマーク模試の成績と一般模試とドッキングで判定が行われる場合があります。
例えば東京大学受験に関しては二次試験よりも共通テストの配点の方が低いという特色から、一般世間ではドッキング判定があまり意味をなさないと言われています。
ただ、模擬試験はあくまで学力の判定の一つの基準であって、受けても意味をなさないわけということはありませんので、そこは念のために言っておきますね。
1.理系と文系の偏差値の数値を同様に見てはいけない
まず結論から言いますと、偏差値は文系の方が数値が高く理系の方が低く出ます。
ですから理系の受験生と文系の受験生が、お互いに偏差値のデーターを比較しあっても補正されていなければ評価が違います。
重要なのは理系の大学と文系の大学の偏差値を、数字だけで見比べてはいけないということです。
なぜそのようなことが起きるのでしょうか?
世間の一般的な偏差値の数値は、受験者全体の平均点によって大きな影響を受けます。
文系の平均点と理系の平均点の差って生まれますよね。
つまり平均点は受験者数の母集団次第で大きく変化するのです。
一般的に理系科目の方が文系科目よりも学習時間が多く必要で、難易度が高いとされています。
文系では暗記だけで済む科目はがありますが、理系は計算力や思考力を必要とする科目が多いため、この点で偏差値の表示方が変わってきます。
理系と文系で全く共通の科目は英語で、そして数学が苦手な受験生はほとんどが文系に行きます。
こういった様々な要素から、一般的に理系の方が文系より受験が大変という特徴があると言われています。
もう一つ大きな理由があります。
それは医学部や歯学部、薬学部などの医系学部が理系に分類されているということです。
理系の平均点の方が文系の全体よりも高いのは、こういった難関学部受験者が含まれるからです。
特に医学部は、様々な学部の中でトップレベルの実力が求められます。
こういった医学部生のとった点数は理系で計算されますから、理系の学力の方が文系よりも高くなるのです。
医学部受験は理系学部受験とほぼ同じ科目や科目数ですから、偏差値では分類が同じものとして判断されます。
以上のことから理系受験の方が文系受験よりも難しいという考えのもとで偏差値が出されますので、数字上では理系の方が偏差値が低くなるのです。
ここで理系の方が難しいのであれば理系の方が数字が高くなるのでは、と思われるかもしれませんが、理系と文系の偏差値を分けて考えると理系の方が難しいので、自分の偏差値の数字がそこまで高くなくても合格できると考えればいいのです。
文系の平均点が50点と理系の平均点が50点は同じ50点でも、意味合いが全く異なります。
文系の平均点50点を取るよりも、理系の平均点50点を取る方が大変ですから、文系で平均点50点をとった人と同等のレベルは理系の平均点で45点を取った人と同じという考え方ができますよね。
つまり同じ学力の人で偏差値を考えると理系の試験の方の平均点が高いから、理系の母集団内で計算すると偏差値は低くなってしまうわけです。
これ以上になると統計学の話になってしまいますのでこの辺に。
ただ、理系に行こうか文系に行こうか迷っている人にとって、比較できないと言われても困る話ですよね。
そこで、理系の学部と文系の学部を直接比較する方法があります。
それは補正をした上で偏差値を比較するということです。
一応念を押しておきますが、決して文系の方が理系よりも劣っているというわけではありませんので、そこのところは誤解のないようにしてください。
理系の方がいいか文系の方がいいかというのは、日本の経済、就職状況とも大きく関わってきますので、時代によって評価が異なるということも覚えておきましょう。
偏差値を補正して正しく数値化している偏差値表もあれば、補正も何もしないでそのまま出している偏差値表も出回っているのが現状です。
大学や学部受験のシステムに応じて、文系の学部の偏差値から例えば少なくて2、多くて6ぐらい差し引くと、実情に見合った数値に置き換えられます。
これは一般の受験生ではできませんので、予備校できちんと補正した偏差値を見る必要があります。
予備校によって偏差値が高く出ていたり低く出ていたりしているのは、偏差値の補正が甘く受験者数が不安定な所から由来しています。
昔なら全国統一模試の受験者数が多くて、本番の試験と近い人数が受けて、それなりに数字が近いものが出ていましたが、最近は模擬試験の受験者数が不安定なため、全国模試といえど帰ってきた偏差値を見ても判定に疑問を感じる方も多くないでしょう。
大雑把に2~6と言いましたが、実際は小数点二桁ぐらいまでの補正をきちっとしておかないと正しい数値が現れません。
この補正をした偏差値できちんと判定されている偏差値表で見るのが一番です。
皆さんも経験あるかと思いますが、この大学がたったこんな偏差値とか、この学部がこんなに偏差値があるのかとか、おかしく感じることがありませんか?
特にインターネットに表示されている偏差値表は、サイトによって評価がまちまち。
大学偏差値ランキングの数字は、偏差値の算出するその過程次第で、サイトや出版社によってばらつきが生まれてしまうのです。
大学偏差値ランキングの数字は、補正をしてきちんとされているかされていないかによって信憑性が大きく異なってきますので、注意してください。
2.国公立大学と私立大学の偏差値の数値を同様に見てはいけない
結論から先に言いますと、国公立大学と私立大学の偏差値は国公立大学の方が数値が低く私立大学の方が高くでます。
例えば科目数の少ない私立大学と科目数が多い国公立大学で同じ見方をしてしまうと、科目数の少ない私立大学の方が偏差値がめちゃくちゃ高くなっていることがあります。
私立大学の場合は3科目から4科目ですが、国公立大学の場合は共通テストと二次試験を含めると5教科7科目がほとんどです。
科目数が多いということは当然、そのぶん勉強が大変で、合格するのは難しいということですよね。
当然のことながら、科目数が少なければ少ないほど勉強量や時間はその科目に注ぎ込めばいいわけですから、高い得点を取らなくてはなりません。
偏差値が国公立大学よりも私立大学の方が高く出るのはそれが理由です。
さらに、国公立大学は共通テストと二次試験という二段階選抜ですので1回勝負の私立大学と同様の見方をするのも誤差が出ます 。
国公立大学の第一次試験である共通テストは、誰でもお金を払えば受験できます。
2次試験はいわゆる足切りラインというのが設けられていないところは全員が受けられますが、何倍で二段階選抜を行うとされている大学では、二次試験を受ける学生は粒が揃っているということになります。
一方、1回勝負の私立大学はお金を払えば誰でも全員受験することができます。
つまり、国公立大学は二段階選抜という大きな特徴がありますので、その点でも私立大学と同じ偏差値で考えては誤差が生じます。
受験者の母集団の違いもありますが、国公立大学と私立大学の受験の方式そのものの違いによって偏差値が大きく異なってきます。
ほとんどの私立大学の受験生は複数の大学を併願します。
場合によっては、国公立大学の滑り止めとして受けることもあり、国公立大学に受かってしまうと私立大学は大抵の場合は蹴ってしまいます。
つまり、掛け持ちをして受験をしますから、合格者の中でも一部では入学をしないで他の大学へ行ってしまいます。
私立大学では定員が割れないように、合格者数よりも多めに合格者を出していました。
私立大学はお金を払えば誰でも受験できますので、入学定員の何倍もの数の受験者が受けます。
今までは合格者数の定員を越えて入学させることができましたが、文科省は補助金の減額を行うようになって、大学側も定員からあまりにもかけ離れた人数を取ることができなくなりました。
そこをきちんと見越していなかった偏差値表は、甘めに偏差値が出されていたために、受かるはずという判断が出ていたのに受からなかったという受験者も多かったのではないでしょうか。
そういう受験生は非常に気の毒ですよね。
以上のことから、知らないで偏差値の数字だけを見て判断してしまうと、全く真逆の判断をしてしまいかねませんし、見方を間違えると自分の実力を間違って判断して、受かる力があるのに無いものと無いのにあるものと判断してしまうと大変危険なのです。
正確な偏差値が合否を分ける
この他にもまだいっぱい理由があるのですが、これ以上書くと皆さんも読むのが飽きてくると思いますのでこの辺りにしておきます。
ボーダーラインに入り込めているのかどうかというぎりぎりのところのの判断で、正確な偏差値が必要となります。
偏差値の見方を間違えないように、きちんとした偏差値のデーターをもとに正しい判断ができる先生に解説してもらうのが一番です。